お茶のかけ橋/静岡県静岡市葵区足久保

橋梁とか土木構造物とか

訪問日は令和8年2月23日

場所は安倍川支流の足久保川である。
この時期、全国的に記録的な渇水が続いており、この足久保川が完全に干上がっていた。

上記写真にも水位計測用と思われる感知器が写っているが、この状況では、おそらく虚無しか計測できていなかったことだろう。

そんな、足久保川には1箇所だけ吊り橋が架かっている。(※)

※かつては上流にも吊橋があったようだが、現在は撤去されている。(2026/7/25追記)

それがこの、「お茶のかけ橋」だ

このあたりは、「静岡茶発祥の地」と呼ばれており、現在でもなお、静岡茶(足久保茶、本山茶)の産地として知られている。
「お茶の架け橋」という名称も、そうした地域の歴史や茶文化にちなんで命名されたのだろう。
よく見ると、主塔はお茶の葉を思わせる形をしている。

さて、その茶葉型主塔だが、かなり特殊な形状をしている。
おそらく堤防の強度や背後の道路への支障を避けるためだろう。主塔の背面に側塔を設け、主索を側塔で下向きに転向させたうえで、主塔基部付近の橋台へタイダウンする特殊な定着構造を採用している。
一見すると珍しい自碇式の吊橋なのかと錯覚してしまうが、よく見るとアンカーは地盤側に定着しているようなので、地碇式にはなるのだろう。

お茶の葉のような主塔の形状も、単なる装飾ではなく、主索を転向させるために必要な角度から生まれたデザインなのかもしれない。

構造上の制約と、お茶の産地らしい意匠を見事に両立させており、これを設計した人は本当にすごいと思う。

この吊橋自体は「静岡市道足久保口組歩行者専用道橋線」に指定されている。
橋の諸元は以下のとおり。

お茶の架け橋

河川:足久保川
形式:地碇式単径間無補剛吊橋(側塔タイダウン式)
主塔:鋼製H型
主索:2本
耐風索:なし
竣工:平成23年

比較的新しい橋で、鋼製の補剛桁も設けられているため、歩いても揺れはほとんど感じられない。

【2026/7/25更新】
なお、この橋の設計・施工は、(株)造景エンジニアリングが担当したようだ。

同社は静岡県内において、千枚大吊橋、河津踊子滝見橋、坂ノ上大下橋、宮沢橋など、近年建設された特徴的な吊橋の設計・施工に数多く携わっている。

いずれも立地条件や用途に応じた個性的な構造・意匠を持つ橋であり、「お茶の架け橋」の特殊な主塔や定着構造にも、同社の吊橋建設における豊富な経験が生かされているのだろう。

場所はこのあたり

【静岡県吊り橋マップ】

静岡県吊り橋マップについて
はじめにお久しぶりです。たまそらです。最近、主に ゆるキャン△ の影響で、吊り橋を見に行くことが増えました。もともと静岡出身ということもあり、吊り橋自体にはそれなりに馴染みがあります。作中で登場した大井川流域の吊り橋も、アニメ化される前から…

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