御殿場馬車鉄道の廃線跡を辿る【其の壱/新橋停車場~御殿場停車場】

廃線とか休止線とか未成線とか

こちらの記事の続きです

御殿場駅である
かつて 東海道線の難所と知られた 現在の御殿場線の区間
その最高地点に位置する駅である

今でこそ町の名前は御殿場市だが この御殿場という地名 現在の静岡市にあった駿府城で大御所政治を行っていた徳川家康がここに御茶屋御殿を建てたことに由来する 江戸と駿河を結ぶのは東海道だが 東海道の難所 箱根を迂回する矢倉沢往還(足柄街道)という街道があった 五街道が整備される前 こちらが東海道として使用されてた時期もあったので 家康が江戸へ向かう際の宿と使う為に当時の横割宿に御殿を建てたと思われる

しかし徳川家康はこの御殿の建設を命じた翌年に 駿府城で亡くなっている
つまり家康は生前 この御殿を使ってないのだ
しかし徳川家康が駿府城で死んだあと 静岡市にある久能山東照宮というところに一時遺体を運び祀ってから 後日 日光東照宮に運ぶ際に(ちなみに このような風に執り行う様提案したのは 明智光秀と同一人物説があることで有名な南光坊天海である) その道 ここ御厨(※)の地にあったこの御茶屋御殿を宿として使用したと言われてる
その場所は現在の県立御殿場高校がある付近 地名で言うと 御殿場市上町付近である
その御殿が建てられた場所 そしてその御殿建設の際に集められた職人達により形成された職人街のことを御殿新町と呼ばれるようになり その後 御殿場と呼ばれるようになる

※ちなみに御厨という地名は全国各所にある しかしその場所の殆どが有力神社の荘園だった場所である ここの御厨もかつては伊勢神宮の荘園だった 御厨の御は神のことで 厨は台所の意である つまり直訳すると御厨は「神の台所」ということである
ここ御厨と呼ばれた荘園ではその名の通り 神饌 御饌 を生産するための場所であったとされる

話が逸れたが このブログでも散々言ってるように御殿場線は当初 官営鉄道東海道線として開業している
御殿場駅はその開業当初からの駅である

しかし、御殿場駅は 前途の通り 職人町があった御殿場とは離れている 新橋に位置する


新橋浅間神社があったり


映画館があったり(最も 現在では休館中である 昭和の感じが残る映画館も静岡では珍しくなってきたので とても残念に思う)

その他 商店街があったり 現在では駅を中心に 御殿場市中心街を形成している新橋地区だが 元々鎌倉往還や矢倉沢往還(足柄街道)と交差する土地から(ちなみに交差してた所は隣の湯沢地区や二枚橋地区だと推測される)街道沿いに民家が立ち並んでいたと思われるが このように発展したのは 御殿場駅の存在が大きいだろう

そんな新橋から 御殿場馬車鉄道は出ていた


御殿場馬車鉄道の起点 新橋停車場は 御殿場駅前の通りの一つにあった
ちょうどこの駐車場や建物(左)が建っているあたりに馬車鉄道新橋停車場があったとされる

資料の写真と現在とではここら一体では差異があったので これは推測だが この建物が建つ前には 居酒屋等の飲食店が建っていたと思われる
この飲食店 現在では この建物のさらに左側で今でも営業をしているのだが その飲食店らの 駐車場だけが 今でもそのままで使用されているようだ
なぜか駐車場だけは 資料の写真と一致している

そんな飲食店だが 建設する際 地下から馬鉄の枕木やレールが多数発見されたようだ
この新橋駅には 明治38年より本社が置かれていた(以前は西田中にあったようだ)


さて、この新橋停車場は その後建物が立ち並んだ関係上 当時の馬車道を辿れないが それも僅かな区間である

※なお 新橋はニイハシと読みます シンバシじゃありません また新橋地区には銀座と呼ばれる地域がありますが ここは静岡県です東京都じゃありません


駐車場を突っ切るとJAの駐車場の前に出る


ここを馬車鉄道を通っていた
この道を地元の人は 今でも馬車道と呼んでいる
馬車鉄道自体が複線だったので この道幅は当時のままである
抜け道として利用されているので 結構交通量があります


馬車道は暫く続く


しばらく行くと 左側に山神社がある 資料によるとちょうどここが湯沢と新橋の境のようだ


馬車道はやがて 旧国道138号線である 静岡県道401号線と交差する


ちなみに すぐ隣に見える 湯沢交差点では 県道401号線と県道394号線が交差している どちらも かつてはそれぞれ国道138号線(旧鎌倉往還) 国道246号線(旧矢倉沢往還)であったため 青看に修正跡が残されてる


県道401号線を渡った先の右側にあるのが 馬車道公園である
旧御殿場警察署の土地を公園にしただけであるため 馬車道に特に関係があるわけではないのだが ただここにかつて馬車鉄道が走っていたを示している


お年寄りがベンチで休んでいた ちなみに大抵午前中にはお年寄りがこの公園で休んでいらっしゃる


帰りにまた寄ってみたが 午後から曇の予報だったからか それとも午前中に通うのが日課なのか 誰一人としてその公園には居なかった


再び馬車道を進む


サンサンプラザ と言う地方スーパーであるサンサンクックが 閉店したダイエーの建物を買い取った デパートというか 大型スーパー店の前を通る
この侵入禁止の標識はダイエーだったころからある

しかし別にこの馬車道は一方通行ではない
地元ではサンプラと呼ばれるこのスーパーに入るための歩道への車輌侵入禁止ということだが 間際らしい


写真を撮りながら そして寄り道しながら進んでるので 普段 10分程で歩いてしまうこの馬車道を30分以上かかっているが気にしない

このような生活道路で 一眼レフを構えて何やってるのか怪しまれないだろうか 地元民なもので 誰か知り合いに合わないように願いながら進んでいる


飯塚医院という 診療所の跡があった


そんな旧飯塚医院の隣に古そうな橋がある 残念ながら橋の名称などは不明だったが 馬車鉄道が走っていた当初からの橋だろうか そうなると明治橋梁ということになってしまうが さすがにそれはないだろうか

ちなみに 資料によるとこのあたりを滝ノ上と呼ぶらしい 川沿いに滝ノ上不動が祀られてる──らしいが滝不動尊と書かれていますね… ちなみに今はないが 鎌倉時代に文覚上人という方が修行した滝があったことに由来する 不動尊は江戸時代の享保年中にここを開発した時に掘り出されたようだ


やがて馬車道は 旧国道246号線である 県道394号線に合流する この県道394号線は かつての矢倉沢往還 足柄街道を拡張したものである 馬車鉄道も足柄街道を拡張し そこに軌道を通したので しばらくこの足柄街道を走っていた


御殿場市役所である ここまでが馬車道と呼ばれる区間である
馬車鉄道の建設時に新たに造られた道だった
馬車鉄道廃止後はそのまま道路に転換されたのだろう


馬車鉄道が走る足柄街道は 現在の国道138号線 御殿場バイパスと交差する


国道138号線バイパス 箱根と御殿場を結ぶこの区間だが 御殿場ICが近くにあることもあって 交通量がとても多い


この交差点付近を二枚橋という この交差点を渡った先にその地名の由来となった橋がある


その橋の西側にこのような岩があった


一見するとただと岩だが 実は道標である
富士山のマークに 東 十里木 胎内 村山 という文字が見える ここがどうやら十里木への古道の分岐点である


国道138号線のバイパスを渡ると 小さな橋がある
この橋が地名の由来となった二枚橋である


さらに足柄街道を進むと 左手に二枚橋浅間神社が見える
このあたりに 「アカガネゴテン」と呼ばれる家があり しばしば 文人墨客が訪れたらしい
昭和10年には 山月記の作者として有名な中島敦も訪れ 同家の隠居部屋でひと夏を過ごしている


二枚橋浅間神社


そして馬車鉄道のあった足柄街道は 御殿場小学校がある前を通り やがて 旧御殿新町があったあたりにさしかかる


そして、ここで 馬車鉄道は左へそれ 足柄街道と別れる
──しかし、それは大正9年2月までである

大正に入り 経営不振に歯止めが利かなくなってから 徐々に運行区間を御殿場地域に限定されていった
大正6年9月には 西田中鴻巣~須走が廃止され 9年2月には御殿場上町停車場以北の区間が廃止された
その際 上町から足柄街道沿いに御殿場中町の窪町坂まで延伸した

その為 大正9年以降は 馬車鉄道は 左にそれず そのまま足柄街道沿いに進んでいる
そちらは後で探索するとして まず御殿場上町停車場を訪ねよう


といっても 曲がったすぐのところにあるのが御殿場上町停車場である


庚申寺(こうしんじ と読むようだ) の前に 停車場があったようだ


さて、御殿場中町への延伸部分を探索しよう
このような蔵の横を足柄街道沿いに進む

最も 延伸といえ 僅かな区間である
実質的には 御殿場停車場の移転 というのが正しいだろう

ちなみに この上町一帯に 御茶屋御殿があったとされる


そして、この御殿場中町 窪町坂停車場が終着点であった
写真の交差点でその軌道は終わる
なお、上町停車場 窪町坂停車場は それぞれ 時代によって名称が変わっていたと推測され その細かな資料が残っていないので どちらの停車場にも使用されていた 御殿場停車場 という名称を今回 使用させて戴いた

今回の探索は 午後から雨の予報もあり ここで 撤退 この後の区間は後日に回すことにした

とりあえず今回の区間の地図を載せておく
地図

【御殿場馬車鉄道 廃線跡】

導入編

其の壱/新橋停車場~御殿場停車場

其の弐/御殿場停車場~柴怒田停車場

其の参/柴沼田停車場~須走停車場

考察編

其の四/須走停車場~籠坂峠停車場(前)

其の五/須走停車場~籠坂峠停車場(後)

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